
こんにちは。Kamaniの水野真吾です。
初夏になり暑い日も増えてきましたね。カマイチ商店の花壇で育てているトマトやきゅうりなどの夏野菜もかなり大きく育ってきました。
こちらでは、Kamaniの商品を作ってくださっている窯元さんの紹介記事をアップしています。
第3回目は、岐阜県土岐市にあるメーカー「カネ定製陶株式会社 」さんへお邪魔してきました。
岐阜県土岐市の駄知町の丘の上にあるメーカーさんで、町全体を見渡すことができます。
創業は1943年。現在は45名以上の方が勤務をされており、1カ月でなんと約35万個の陶器を製造されていらっしゃいます。Kamaniでは「雷紋龍」や「クレタ」シリーズといった、かわいらしい器を中心に多くの商品を扱っています。
数多くの器をどのように製造されていらっしゃるのか、多くの人に愛されるデザインはどうやって生まれているのか。
4代目の社長を務める籠橋さんと、女性デザイナーの鷲見(すみ)さんにインタビューをさせていただきました。
「カネ定製陶」の歴史
――これだけの種類の器を製造されるようになった経緯は?
(籠橋さん)2000年頃には、結婚式の引き出物を中心としたギフトの器に大きな需要があり、当社の製造の中心になっていました。今の若い人には考えられないかもしれませんが、結婚式に百人単位で参列者を呼び、紙袋いっぱいに陶器を持たせることが当たり前だったんです。
しかし少子化による結婚式自体の減少や、多彩な引き出物が載るカタログギフトの台頭もあり、需要が低迷。周りのメーカーや商社の倒産も目立つようになり、当社にも大きな影響がありました。
生き残りをかけて多くのメーカーが価格競争し、少しでも安く陶器を製造、販売する路線に舵を切る中で、価格だけに目をむけた仕事には違和感を持っていました。

他社がとらない、あえての道を進まなければ生き残れない。
そう思い、雑貨や量販店向けの商品はどうか。それでも難しければ、レストランなどの業務用の器はどうか。試行錯誤の中で多種多様な製品を作り、多くの需要に答えていくことにチャレンジしました。
一つのカテゴリにとらわれずに製造を進めたことで、ECサイトが普及した時期やコロナの時期など、世の中の変化にも対応でき、現在の当社の強みにもなっています。
――商品開発ではどんなことに注力していますか?
(籠橋さん)これだけメーカーや窯元が集まっている歴史の長い地域なので、器の形状や柄は正直やりつくされていると思います。
しかし、だからといって同じものを製造するばかりだと大手メーカー同士の価格競争になり、過去と同じ経験をすることになる。

一つの製品にこだわらず、多くの種類を提供することが当社の特長です。お客様のニーズに答えるためにも、新しい形状を毎年必ず一つは製造するようにしています。
社内外に5名のデザイナーがおり、私自身もデザインに関わりながら、試行錯誤の毎日です。

また、当社の取り組みの一つに「リサイクル」があります。陶器は気温や湿度、窯の温度、配置など様々な影響を受け、製造の過程でどうしてもB品(不良品)が出てしまいます。
それを粉々に粉砕し、原料屋さんへ持って行って、自社で使う土に混ぜてもらっています。
リサイクルした土で作ると通常の土よりもコストがかかるので、業界全体であまり進んでいない取り組みではありますが、資源を無駄なく活用するために行っています。
――美濃焼のブランド価値と価格についてはどう思いますか?
(籠橋さん)「他産地の陶器と比べて、美濃焼は安すぎる」「安売りしていてはブランド価値が下がる」と言われることがあります。ただ、私は安いことが悪だとは思いません。
「百円ショップから、人間国宝まで」と美濃焼の説明でよく言われますが、幅広い販売先があるから原料屋、型屋、釉薬屋、窯元、商社などの各業者が存続でき、産業が成り立っています。
そのためブランド価値を上げることは大切ですが、極端に値段を上げたり、利益を追求することは考えていません。これからも当社は手に取りやすい適正価格で、使う人に喜んでもらえるような陶器を作り続けていく方針です。
新しい物を製造することはコストもかかり大変なことも多いです。でも、その挑戦は止めないでいたいですね。

自社の歴史や特長をわかりやすく、熱心に語って下さった籠橋さん。カネ定製陶さんで勤務をされている、デザイナーの鷲見さんからもお話を伺うことができました。
――どんなことを考えてデザインしていますか?
(鷲見さん)インターネットでの情報収集に加えて、テキスタイルの本、子供向けの絵本など、どこからでもアイデアは吸収しています。
例えば、雷紋龍のデザインは昔流行ったインベーダーゲームから発想を得て生まれたデザインなんですよ。
新しい柄を考えることはとても難しくて大変なことですが、私自身陶器が好きなので。食事をする人の手に馴染むような軽さ、持ちやすさを意識してデザインを考えます。
一方で、製造ラインを意識することも多いですね。
陶器を重ねた際に持ちやすい形状にして、工場のスタッフが作業しやすいようにしてみたり、それに合わせてデザインを工夫してみたり。
使う人と生産効率のバランスをとりながら、デザインする毎日です。
私たちが直接、食器を使う人の声を聞くことは少ないですが、少しでも私たちが作った器で食事を楽しんでくれたらうれしいなと思います。
お二人のお話をお伺いした後に、器がどういった行程を経て形になっていくのか、工場内も見学させていただきました。
次回の記事に続きます↓