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2026/04/24 14:55

こんにちは。Kamaniの水野真吾です。


最近では大阪の「万博 Tableware Market」「たじみ陶器まつり」などに出店し、多くの方にご来店いただきました。お越しいただきました皆様、ありがとうございました!


こちらでは、Kamaniの商品を作ってくださっている窯元さんの紹介記事をアップしています。


第2回目は、岐阜県土岐市にある窯元「カク林窯 」さんへお邪魔してきました。


岐阜県土岐市「カク林窯」


「カク林窯」は岐阜県土岐市の駄知町にある窯元で、代表の林英樹さんとご家族が陶器の製造をされています。


Kamaniでは「線刻カップ&ソーサー」や「線刻ビッグマグ」といった、幾何学的な模様が特徴の器を扱っています。



一目見ただけでカク林窯さんの作品だと分かる個性的なデザインで、とてもファンが多いです。



美濃陶芸協会理事を務め、個展を開催されることもある林さん。工房の一角には自身の作品が並んでおり、ギャラリーのような独自の世界観が感じられます。


この日は器を制作されている様子を見せていただき、作品に込められた想いについて林さんにインタビューしました。


器の製造工程①成形


まずは器の成形の工程を見せていただきました。「動力ろくろ」という機械と石膏型を使って、粘土を成形していきます。



石膏型に土を入れ、回転させながら上から均一な力を加えることで、同じ形を量産することができます。これにより、誰がやっても安定した品質で、同じ形の生地を作ることが可能になります。



その後、石膏型が土の水分を吸い、生地が少しだけ小さくなったら型から外します。


器の製造工程②彫り


次に表面を彫る工程へ。カップやお皿の表面に見られる独特な模様は、林さんがデザインし、一つひとつ手作業で彫刻していらっしゃいます。


思い通りの線が引けるよう、独自に改良した道具を使用。生地が柔らかすぎても、硬すぎても綺麗に線が引けないので、乾燥具合を見極めて作業します。



ササッと手を動かし、1個にかける時間は15秒から30秒ほど。迷いなくハイスピードでデザインを施していく姿には、機械のような正確さと手仕事ならではの繊細さの両面が感じられます。


Kamaniで商品を販売していると「なんて描いてあるんですか?」とお客様に聞かれることがありますが、ご自身の名前の「ひでき」を表すアルファベット「HDK」を崩しながら刻んでいるそうです。


器の製造工程③釉がけ


続いては抹茶碗の飲み口に見られる、色のついた波線を入れていく工程を見せていただきました。


こちらは専用のひしゃくのような器具を用いて、林さんが1つ1つ器を回しながら素早く液体をかけています。



「この作業は1万回以上やっているので、目を閉じてもできます」と、林さん。大胆に行われながらも、その模様はとても美しいです。



抹茶碗の場合は白っぽい色の下地と、色の釉薬の合計2回、この作業が行われます。


さらに器の土っぽい色の部分には別の釉薬を刷り込むことで、独特な質感の抹茶碗が完成します。



これらのような工程を一日ごとに分け、同じ作業を終日ずっとされることもあるそうです。手の込んだ作業を効率的に行っているからこそ、高品質な仕上がりかつ、手に取りやすい価格が実現しています。


どの工程にも林さんの手が加わっており、作品への愛情が感じられました。


林英樹さんにインタビュー




林さん 陶器の製造をして働き、苦労する父の背中を小さい頃から見ていたので、元々家業を継ぐ気はなかったんです。昔からものづくりは好きだったので、大学は建築学科を選び、卒業後は上京して大手のゼネコン会社に入社しました。0から建物の形を作っていき、自分の考えたことを実現できる点では、やりがいもありました。



ただ、一つの建物を作るだけでもかなり多くの人が関わります。自分の理想とでき上がるものにズレが生じることもしばしばありました。そんな違和感を感じていたとき、地元に戻り、友人と陶芸体験をする機会があって。改めて土に触れてみると、自分の手を使って0から思い通りの形を作れることが新鮮に感じました。


ふと思えば、実家には土も釉薬も窯もあり、すぐにでも作陶ができる環境がありました。それに気づいて、家業を継ぐことにしたんです。そうした手仕事のものづくりが自分には合っていたんですね。




林さん 一番は、器を使う方に心から “いいな” と思ってもらえることですね。無数にある陶器の中から僕の作品を選んでもらえることはとてもうれしいことです。そのためにも、自分のデザインを押し付けすぎないようにしています。


自分の理想だけでなく、使いやすい器の形、柄、大きさ、色を考えて、使う人が自分の器で満足してもらえることを、常に念頭に置いています。



もちろん、もっと装飾を増やし、手間をかければよりかっこいい器ができるかもしれません。でも、そうなるとコストも上がってしまうし、生産量も限られてしまう。


器を取り扱ってくれる企業さんや、一般のお客様にとって手に取りやすい価格帯で、安定して商品を供給できることも大切なので、そういったバランスを考えて今のスタイルでやっています。




林さん モチーフなどは特別に決めていないんです。僕の青色の作品をみて「海」を感じる方もいれば、違うものを感じる方もいて、それは自由です。


自分の余暇や趣味の経験からアイデアが生まれることもあります。三人の子どもを育ててきましたが、だからこそ、仕事とプライベートのバランスは意識していました。


また、シャープな線を使ったデザインや、それを描く作業は建築業界で培った経験が大いに生きています。


そういった自分の経験や想いをすべて反映できるところも、陶芸の面白さですね。



陶器を勉強中の私に合わせて、笑顔で丁寧にお話をしてくださった林さん。穏やかながら、時折見せる真剣な表情が印象的で、器作りに対する熱い想いを感じました。


美濃焼は他の産地の焼き物よりも大量生産がしやすく、お求めやすい価格である傾向にあります。


でもそれは品質が悪い、簡素に作っていることではありません。メーカーや職人さんたちの工夫と努力によって成り立っています。

 

こんな風に手間暇をかけて器を作り、美濃焼の歴史を支えている生産者の方々が沢山いらっしゃることを知ってもらえればうれしいです。


ご協力頂いたカク林窯・林さん、ありがとうございました!


最後にアイテムのリンクを貼っておきますので、よければチェックしてみてください。それではまた次回の記事をお楽しみに。