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2022/03/13 21:13
こんにちは。Kamaniの水野です。最近は少し暖かくなってきましたね。久しぶりのブログ投稿になります。
突然ですが…現在Kamaniでは、陶器商社を営む両親が仕入れた器を娘の私が撮影し、サイトで販売をしています。このやり方では私に器の知識がなく、詳細なご紹介ができないことに、日々モヤモヤしておりました。。
そこで今回から、Kamaniを始めてからずっとやりたかった、窯元さんの紹介記事をアップしていきたいと思います。
第1回目は、岐阜県瑞浪市にある窯元「株式会社 大恵」さんへお邪魔し、陶器を作っている様子を見せて頂きました。
器は好きだけど、どうやって作っているかわからない…という方も多いのではないでしょうか。一緒に器の勉強をするつもりで、読んでもらえたら嬉しいです。
岐阜県瑞浪市「株式会社大恵」さん

(上から「おはなのうつわ【ゆら】」「しずくの皿【丸】」※詳細リンクは最後に)
Kamaniでは、上記のような陶器を扱わせて頂いております。2種類ともマットな質感の釉薬と、シンプルで美しい形が特長。私も自宅で愛用中です。

この日は器のデザインと広報を担当している大島さんに、作業現場を案内してもらいました。まずは見せていただいた倉庫の、こちらをご覧ください。

一見、発泡スチロール…のようですが、これらはすべて石膏でできた型!昭和28年に創業した大恵さんは、元々この「型」を専門で作る会社でした。
そこから、陶器メーカーへ転身した名残で、これらを使った「圧力鋳込み(いこみ)」という方法をメインにして、器を作られています。これでどうやって陶器ができるの…?と思いますよね。
圧力鋳込みのやり方

こちらが圧力鋳込みに使われる機械。右手のタンクには、業者さんから届いた土をその日の気温や湿度も考慮して練り上げた粘土が入っています。
圧力をかけることで、粘土が矢印の方向にチューブの中を進んでいき、下部から型の中へ入っていきます。


縦に連なった型には大きめの穴が貫通していて、粘土がどんどんと下から上の型へ進んでいきます。

型の一番上まで来たら、行き場をなくした粘土が下へ向かって押され、今度は写真のような小さな穴を通っていきます。この時、溢れた粘土が穴の周囲へも広がることで、器の形が作られます。こうして粘土を型に詰める作業を「鋳込む(いこむ)」といいます。
圧力鋳込みの特徴は、型を作れば様々な形を一度に作れること。そして、すべてが自動でできるわけではなく、各工程には人の手が必要ということです。


全ての型の中に粘土が詰まったら、石膏の型に粘土の水分を吸わせるため、そのまま30分ほど時間を置きます。その後一つひとつ型を外し、型と粘土の隙間に空気を入れて、粘土を型から取り外します。


工場長がわかりやすく、別の型のものを近くで見せてくださいました。型から外したばかりの粘土はまだ柔らかいので、これをしっかりと乾燥させます。

こちらは乾燥させた器を回転するスポンジに押し当て、形を調える「吹き上げ」という作業。柔らかいスポンジに押し当ててそんなに変化があるのかな…?と思ってしまいますが、縁の仕上がりに関わる大切な作業です。

こちらは窯に入れる、素焼き前の器の様子。この時陶器同士が少しでもぶつかると焼き上がりに影響するので、慎重に並べていきます。

こちらが器を焼く窯です。大きい…!大恵さんでは、この窯が3台稼働中とのこと。窯に入れる器によって温度や空気の回り方などを調整するそう。


この後、器によって手作業で絵をつけたり、釉薬をかけたりします。写真は施釉(焼き物に釉薬をかけること)の様子。器を挟んで釉薬の中にドボンと入れ、余分な釉薬を落として、奥のベルトへ置いていきます。人気の「ドルチェブルー」というマットな質感の釉薬は、ムラなくかけるのが難しいそう。

こんなにたくさんを手作業でやるなんて、気が遠くなってしまいます…><

そこから本焼きをして完成!今回はご紹介を省いた工程もあり、鋳込んでから一つの器ができるまでは、なんと一週間以上!かかります。
安価な陶器は「工場で大量生産されている」イメージがあるかもしれませんが、各工程、長年勤められている職人さんの手作業の積み重ねで、一つの器が完成します。
作家さんが作る一点ものとは違い、正確に同じものを作らなければならないので、皆さん神経を使って作業をされています。

同じ器を複数枚ご購入頂いたとき、釉薬のかかり方に少々違いがあったり、ムラがあったりすることもあるかもしれませんが、
こんな風に人の手で手間暇をかけて作られていることも理解していただけますと嬉しいです(もちろん、あまりにも違いがある場合はご相談ください)。
こうして器ができるまでの背景を知ると、一層愛着が湧きますね。
ご協力頂いた大恵さん、ありがとうございました!
最後にアイテムのリンクを貼っておきますので、よければチェックしてみてください。
それではまた。